大物が捕食するタイミングは月齢に支配されている!「いつ釣れるか!」に迫る究極の時刻表「大漁時刻表」の紹介。シラガウニの販売も

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屋久島 前篇

2007年1月 執筆

トカラ列島臥蛇島釣行

カラ列島の中で本土に一番近い島口之島。その西に約30キロ沖に以前は人が住んで居た現在無人島の臥蛇島(がじゃじま)がある。私は今までにトカラの島々を石鯛釣りで100回以上は攻めてきたが臥蛇島だけは後にも先にもただこの時1回しか攻めた事がない思い出のある島である。
平成2年7月28日親友の伊集院兼幸氏と2名で釣行した時の話である。
彼とは小学、中学、高校と長い付き合いの幼友達で二人でよく酒を飲んだ。飲みながらある時、「来週末、俺と付き合い臥蛇島と云う離島に釣りに行こう」と無理やり彼を誘った!臥蛇島がどこにあるのか彼は知らなかったが全く遠征に付き合っていなかった為断り切れず、しかもアルコ-ルの入った勢いで安易な気持ちで付き合うハメとなってしまったのが正しい。
私が臥蛇島での釣りは始めてだとは彼は知らなかった。それから1週間彼の道具仕掛けに追われる日々でアッという間に当日となった。二人でまだ見ぬ大物に夢を膨らませ、釣れた時の話ばかりをしながら枕崎まで車を走らせた。釣人が一番楽しい時は釣場へ出かける道中そのものである。
帰りは明日からの現実に戻らされるいやらしさ!魚をバラシタ悔しさ!などなど考えるとハンドルを握る手に一遍に疲れがドッと伝わって来るものだ。
行きは良い良いボ-ズ等あるはずがない!!なんとも楽しい道中である。3時間かけて枕崎港到着。もうすでに仲間は到着して荷物を船に積んでいた。宮崎から我々を入れて6名、後は熊本、北九州、鹿児島の釣人10名総勢16名だが荷物の多さにはビックリである。通常の倍近くの釣道具、餌類、大型ク-ラ-であった。釣人は欲の塊だ!よくもこんなにたくさんの荷物を持ち込んだものだ!釣具屋が儲かるはずだ?出港は真夜中0時予定だったが荷物が多く積み込み作業に手間がかかり約1時間遅れでの出港となった。
さいわい波も風も無く快適に一路南に針路をとり順調に走り出す。それから4時間半ぐっすりと休む。伊集院氏も船酔いの薬(焼酎)を飲みグ-グ-大いびきをかき熟睡していた。
そんな中、急にエンジン音がスロ-に変った。到着だ!すぐ身支度を整え船の外に出て見る。
「凄い!」の一言だった。
目の前に聳え立つのは写真などで見た事のある臥蛇の立神である
海面から真っ直ぐ直角にそびえ立つ姿は自然界の偉大な力を感じさせた。伊集院氏もこの光景をみて一遍に船酔い、酒酔い?が吹っ飛んだみたいである。
午前5時半、朝日に映える臥蛇の立神の壮大さは我々の心に一段と印象深く焼きついた。今も瞼の奥にくっきりとその時の光景を呼び起す事ができる。まずは泳がせ釣りで大物を狙う山本氏と小川氏の二人を立神に降ろす。次々と釣り人を各瀬に降ろしてまわり、最後に私と伊集院氏の二人が立神の対岸で灯台下の大きな湾の西側に降りる事となった。降りて見ると立神が西側にすぐそこに見える眺めが良い、足場もしっかりした磯場であったので一安心。
私の釣りは臥蛇島にきても大物釣りはせず相変わらず石鯛一本の世界である。早速磯場の地形を見て釣場を選定してピトンを打ち込む。餌はシラガウニのみである。夏場なので本日使用するウニはすべてク-ラ-の中、明日の分は裏の大きな水たまりにビクに入れて活かした。 1泊2日の釣りでは必ず翌日使用するウニの保管、管理が大事である。

竿は弧礁4.2、リ-ルはアブ9000C、道糸は26号に瀬ズレワイヤ-#36番3m、ナマリは真空おもり20号、ハリスは通常使用の#37番40cmの宙釣、はり18号のタックルで第1投目を投入。水深は20m前後ありなかなかよさそうな場所に見えた。午前中、真面目に攻めるがまったく本命石鯛らしいアタリなし!
遠く臥蛇島まで遥々遠征してきたのに・・・?
おもしろくない!
まわりの瀬では魚の切り身やキビナゴ餌でいろんな魚を釣って楽しんでいる伊集院氏も湾の奥の安全な場所で浮き釣りでおみやげのカスミアジ、ウメイロモドキやアカジョ釣りで忙しそう!11時の満潮を回った頃だったシラガウニ芯餌3個掛けを振り込んだ時油断してしまいリ-ルがパ-マネントしてしまい道糸がもつれてしまう。大失敗!
片手で竿を抱きリ-ルの糸を解いている時、急に竿を引っ張られてしまう!トッサの事でビックリして反射的に合わせる!
もちろんみごとな大空振りだった・・・!
仕掛けを上げて見るとウニ餌は綺麗に無くなり喰いカスの膜のみであった。取り急ぎリ-ルの道糸をきれいに解き新しい餌に変えて再度挑戦、準備完了・・・!
待てよ!今のはリ-ルのトラブルで確か仕掛けは6m前後の棚だったハズ?私はソオ-ッと釣場の下を覗いてびっくり仰天!居るわ居るわ良型イシガキ鯛が水面から2から3mの所でフジツボを一生懸命食んでいる!しかも1、2枚ではない何枚も大物が確認できる。
私は目を疑い初めて見る凄い光景にみとれてしまった。私はク-ラ-の中からシラガウニを20個程取り出し足で踏みつけ潰し磯際に巻き込んでみた。それから仕掛けを魚が警戒しない様に少し沖めがけチョイ投げしてリ-ルを止め磯際の6から7mの棚に落ち着かせて手持ちで待った。1分も待たない内にガンガン当たりが出る・・・棚が浅い為、キュ-と気持ち良く突っ込んでくれた。
臥蛇島最初の石物は3kgクラスの良型イシガキ鯛だった。昼までの間に3枚ものイシガキ鯛を捕獲する事ができた。その後は警戒したのかこの浅場ではアタリが無く遠のいてしまった。
でもこの3枚の石垣鯛が私の石鯛釣りの考え方を変えてしまったのは事実である。
今までは水深20m、25mという深い底を釣るのが常識であった私がこの臥蛇島の石鯛と遭遇してからは浅い棚まで誘い上げて釣る釣り方に変わっていった。
石鯛は水温や潮の具合によっては水面近くの磯際まで浮上してフジツボやカメの手などを捕食する事を自分の目で確認できた事が私の石鯛釣りの考え方を変える原点となったのだ。今考えれば素晴らしい体験であった。

 

虫の知らせ?不思議な現象

夕暮れ時の事である。
夜釣りの準備と寝床の確保の為、テントを張り終えた時、後ろの70m前後ある垂直の崖から直径1m程の大きな岩が我々の横30mの所に突然ゴロゴロ落ちて来て大きくバウンドして湾の中に「ドボン!」何がなんだか解らない驚きと恐怖で足がすくんでしまった。トカラの島々は険しい自然環境の為、海岸線のいたる所で自然崩壊が進んでいる事は知っていたが実際本当に怖かった。絶壁の上を見上げると上部に黒と白いものが無数にゆっくり動いている。よくよく見れば野生のトカラヤギの群れであった。
岩が落ちた原因は自然崩壊ではなく犯人はこのヤギ達かも知れない?真相は解らないままであるが?それからおそるおそる崖に注意しながら少し早い夕食を急いで終えた。
夜釣り戦闘開始!穂先にケミホタルの光が一段と明るくなった頃1匹の真黒い1cm弱程度の虫(黄金虫の小型)が目の前を何回も飛び回るので手で追い払った。いつのまにか2~3匹に増える。タオルで払い落とす。何と10から20匹頭の周りに群がる!
その時、隣で釣りをしていた伊集院氏が悲鳴をあげてこちらに逃げて来る。そういえば彼は昔から虫と蜘蛛が大の苦手だった事を思い出す。
虫の数はあっという間に何百いや何千という凄い数になり私達の衣類、ズボンに群がり伊集院氏の髪の毛の中まで入り込み大騒ぎになる。
釣場は足の踏み場がない状態で真っ黒な虫だらけである。
取り合えズランタンの光りを消し二人してテントの中に逃げ込んだ。二人して午後9時頃までテントの中に入ったままでもう夜釣りどころじゃない。9時過ぎにヘッドランプを付けて外を照らすがもう虫は飛んでいない様子?恐る恐る釣場まで降りてみると無数の虫の死骸だらけ!釣り道具バックの中にもたくさんの虫が入り込んでいた。
もういやになった!とんでもない体験を二人してしたものだ!始めて離島に来た彼は「いつもこんな出来事に会うのか?」とイヤに成った様子であった。西の方角の臥蛇の立神に綺麗な月がシルエットを作り神秘的で二人して「凄い」と感激していたのも一瞬で、その月が地平線に近づけば近づく程に赤い月に変り、今度は立神と真っ赤な月のシルエットが薄気味悪く変り、二人して夜釣りをやる気を失くした。
午後11時には早々とテントの中に潜り込み朝まで熟睡した。朝4時半起床もう東の地平線は薄っすらと明るくなり始めていた。
早速石鯛釣りの準備にかかり、1投目を入れた時だった。立神の横から朝の巡回か?少し早い見回り船が他の釣人達の場所に立ち寄らず一直線にこちらに近づく・・・何かいやな予感がする?ドンドンと接近してきた。我々の前に直接来てマイクで何か言うが聞き取れない!
2回目で「誰かが亡くなった!」と聞こえた!不安な気持ちで慌てて船に飛び乗る!
船長がすぐさま自宅に船舶電話にて連絡するように言われドキドキしながら震える指で電話をかけた。
早朝にもかかわらず当時中学生の長女が電話に出てきておばあちゃん(家内の母親)が一昨日、脳梗塞で急に倒れ亡くなった事を聞かされた。私が離島遠征にお客さんと行動している関係で今夜が通夜で明日葬式になったとの事である。
瀬渡業者の武岡フィッシング社長には前々日に家内から連絡がすでに入っていたが折角楽しみに釣り遠征を組まれたお客さんの事を考え昨日1日と夜釣りのみをさせて早朝、回収が組まれていた。
知らないのは私だけ、迷惑を掛けました。それから各瀬に事情を説明して廻り少し早い午前6時から回収にとりかかり7時には臥蛇島を離れ一路枕崎をめざし帰路につきました。
狭い船の中帰りは約5時間半の船旅となった。
そんな中眠れない私は一人で、いろんな不思議な出来事を思い出しながら大きな岩の落下、虫の大群の来襲!薄気味悪い立神と真っ赤な月など今考えると義理の母が倒れた不幸を「むしの知らせ」で知らせたのかも知れないと思った。
みんなの協力にてどうにか通夜に間に合うのが精一杯の釣行となりました。
それ以降私にとって臥蛇島釣行は1回も無いし、組む予定もない島となった島の一つなのです。

 

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